セレッソ大阪スポーツクラブ

【風間塾セレッソ大阪養成所~指導者の資質~】風間八宏技術委員長 インタビュー

2023.03.23
――「風間塾・セレッソ大阪養成所」は指導者の「資質」を徹底的に伸ばすことにこだわっていくそうですね。指導者の「資質」とは何なのでしょうか?

風間:サッカーには6つの基本技術があります。「止める」、「蹴る」、「運ぶ」、「受ける」、「外す」、「見る・見ない」です。

そしてサッカーを伝える技術には「デモンストレーション」、「映像化」、「言語化」の3つがあります。

本講座の参加者の方たちには、これら6つの基本技術と3つの伝える技術を徹底的に学んでもらいたいと考えています。

具体的には私がグランドで指導する実技、教室で行う座学、私と一緒に試合を観戦する「見る」授業、セレッソアカデミーの内部向けの指導者講座などに参加してもらいます。ユースチームの試合前後のミーティングや、小学生から高校生が一緒に練習するスペトレにも参加してもらう予定です。

――風間さんがここまで本格的に指導者を育成するのは、初の試みなのではないでしょうか?

風間:すでにこれまでの2年間、セレッソのアカデミーとスクールの指導者を対象に、月に2、3回のペースで私が直接指導してきたんですね。それによって「こんなにも指導者が変わり、その指導者を通じてこんなにも選手たちが変わるんだ」ということをクラブのみんなに理解してもらえた。この2年間ですでに4人の選手がトップに昇格しました。

ただ、選手たちの成長のためには、セレッソのアカデミーとスクールにさらに多くの優れた指導者が必要。そこで今回、外部に門戸を開き、新たに指導者を育成するプロジェクトを立ち上げたんです。

――本講座に優れた受講者がいたら、セレッソのアカデミーとスクールに採用したいと考えているそうですね。

風間:そうです。本講座には2つの目的があります。1つ目がセレッソの仲間になってくれる指導者を養成することです。

2つ目の目的は、成長したいと考えている指導者に、さらに良くなる機会を提供したいということ。自分のチームを持っている指導者であれば、講座で身につけたものを持ち帰って欲しい。

これらの先に共通してあるのは、とてつもない選手を日本サッカー界から輩出するという未来です。技術をここまで明確に定義する取り組みは、世界のどこを探してもないでしょう。世界のサッカーを日本から変えてやるんだという仲間を募集します。

――どんな人材に受講して欲しいですか?

風間:本気で優れた指導者になりたい人。本気でサッカーを知りたい人。ひとつ条件を言えば、頭が素直なことです。新しい考え方を受け入れる柔軟さが不可欠です。

本格的なサッカー経験がない方にも十分にチャンスがありますよ。逆に固定概念がないという点でアドバンテージになるかもしれません。

――とはいえ、伝える技術のひとつに「デモンストレーション」があるように、指導者自身が「止めて蹴る」を実演できる必要がありますよね?

風間:その通りです。選手たちに伝えるうえで、最もシンプルなのは指導者がやって見せることですからね。やって見せると説得力が違います。

ただし、なにも試合の強度と速さの中で実演しろというわけではないですから。たとえば「止める」であれば、私たちが定義する「自分が最も強く正確に蹴ることができ、思ったところに運べる位置に、ボールを一度のタッチで完全に静止させる」を、基準通りにデモンストレーションできればいい。

もちろんそれも簡単ではないので、セレッソのアカデミーとスクールでは、コーチたちは空き時間に熱心に「止める蹴る」の練習をしていますよ。受講者にもそこにこだわって突き詰めて欲しいです。

――受講者たちにはどんな指導者になって欲しいですか?

風間:これはセレッソでもいつも言っていることなんですが、「1回の練習で選手をうまくできる」指導者です。

明日良くするのではなく、今この瞬間に選手を良くする。ゲームの中で技術の6項目を自分の中で可視化できるようになれば、間違いなくそういう指導者に近づいていけます。

本講義でひとりでも多く、そういう指導者を輩出したいです。