セレッソ大阪スポーツクラブ

桜なでしこ物語

桜なでしこ物語|第7回 チャレンジリーグ初戦の衝撃

2019.08.07
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第7回 チャレンジリーグ初戦の衝撃

 2013年4月7日、期待に胸を膨らませてチャレンジリーグ初戦を迎えたセレッソ大阪堺レディース。アウェイでのスフィーダ世田谷FC戦、場所は駒沢オリンピック公園陸上競技場であった。

 前半11分、いい形で攻め込み、宝田沙織がシュート。幸先よく先制ゴールを上げた。が、甘くはなかった。時間が経つにつれてボールを支配され、次々にゴールを奪われてしまう。途中、成迫実咲が正面のFKを直接決めて意地を見せたが、結果は2-8。25本ものシュートを浴びての大敗に終わった。

 それまでの実績や自信が完全に崩された90分間に、選手たちは号泣していた。スフィーダ戦のスターティングメンバーの平均年齢は14.3歳。相手とは実に10歳もの差があった。最年長が新高校1年生で、半数以上は中学生。先制した宝田は当時13歳だったのだ。

初陣に臨んだスターティングメンバー。
前列左から、橋満香郁、田中実夏、西田明華、松原志歩、高橋知菜、後列左から、福永絵梨香、藤原のどか、宝田沙織、勝岡美結、成迫実咲、林穂之香。


「チャレンジリーグはこんなに違うんや、と思いました。体格からして、どう頑張っても競り勝てないということと、それでも何点か取れた、という思いとがありました。このなかでやっていくしかないんやな、とその時は思っていました」(林穂之香)

 下位チームを相手に勝点を取れた試合もあったが、力の差は歴然だった。第14節(7月6日)には常盤木学園高校に0-7、第15節(7月27日)にはノジマステラ神奈川(当時)に3-9、第16節(8月3日)にはASエルフェン埼玉FC(当時)に0-9と3試合連続して大量失点による敗戦を喫している。とりわけショックだったのは、ほぼ同じ年代の常盤木学園高校との試合だった。ホームで屈辱の7失点、雷雨にも見舞われた試合だった。

 2013年のチャレンジリーグの成績は22試合を戦って5勝3分14敗 。16チーム中13位であった。

 【その後】
 まるで大人と子ども、すべてにおいて差を感じた初戦のスフィーダ戦。それでも、宝田選手の先制点はうれしく誇らしかった記憶が残っています。結果は残念でしたが、「いつか、必ず強くなって、勝とう!」と思わせてくれる試合でした。
 セレッソ大阪堺レディースの原点ともいえる試合、抜けるような青空と風の強かったあの日のスタジアムのことは、今でも時々思い出します。

文・橫井素子