セレッソ大阪スポーツクラブ

全日本女子U-18 決勝 日テレ・東京ヴェルディメニーナ戦|レビュー:

2024.01.09
2024年1月8日(月)JFA第27回全日本U-18女子サッカー選手権大会 決勝
セレッソ大阪ヤンマーガールズU-18 1-0 日テレ・東京ヴェルディメニーナ
試合詳細 >
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2024年1月8日、JFA第27回全日本U-18女子サッカー選手権大会 決勝戦が行われました。
対戦相手は夏のクラブユース決勝でも対戦し敗北した日テレ・東京ヴェルディメニーナ。
選手たちと『夏のリベンジをしよう』と話をして試合へと挑みました。

序盤、自陣でボールを丁寧に動かす日テレがボールを持ちます。
ピッチ全体を広く使いボールを動かされますが、ボールを中心に全員で移動することでセレッソも崩されず縦パスが入ったところを奪いに行きます。
しかし、前半10分過ぎ。大きな展開でボールを左サイドに運ばれ、そこからクロスを上げられます。そして、中央でフリーになった相手にヘディングシュートを打たれますが、シュートは枠の外へ。
負けじとセレッソも守備の圧力を強め、前線で中村が奪ったボールを丸井が拾い逆サイドの木下へ。パスを受けた木下はワンタッチでシュートを狙いますが惜しくもGKに止められます。
その後、後方から丁寧に繋ぎボールを前へ運ぼうとしますが、相手陣地に入るところでミスをしてしまい効果的にボールを運べません。
しかし、前半16分でした。後方から左から右へ。そして、右から左へとボールを動かして相手を揺さぶります。そして、楠からフリーになった牧口へとボールが渡ります。前向きになった牧口は遠い方のFW古田へグラウンダーでパスを入れると古田が前方へワンタッチパス。そこへ丸井が走り込みます。フリーで抜け出した丸井は迷わず左足を振り抜きます。入ったかと思われたニアへのシュートでしたが、GKのファインセーブで得点とはなりません。
その攻撃で得たコーナーキック。キッカーは木下。木下の助走と同時に中央の選手も動き出します。木下が蹴ったボールはフォアへ。そこで待っていたのは吉田。吉田が豪快にヘディングを打ち抜くとボールはゴールへと突き刺さり先制に成功します。2年前の決勝戦でもセットプレーから得点を取った吉田がここでも大きな仕事をしてくれます。
その後も前進することを恐れずにビルドアップをすることでボールを前へと運びますが、ラストパスの精度が上がらずシュートまで行けません。
すると、徐々に日テレがボールを保持する時間が増えていき、相手陣地で守備をしていた状況から自陣で守備をするようになります。それでも全体が粘り強く守り攻撃のチャンスを伺いますが、膠着状態が続いたまま前半終了。 

ハーフタイムでは、相手の立ち位置の変化を敏感に感じることや、自分たちのやって来たことの確認をして後半へ入ります。

立ち上がり、左サイドの深い位置でボールを奪った牧口。相手のプレスを受けますが、慌てることなくボールを動かしプレスを回避します。そして、ボールを右サイドに持っていくと吉田・飯田のパス交換で相手を集めて吉田から木下へ縦パスが入ります。そして、木下はサポートに来た飯田へ。飯田はバイタルエリアでフリーになった丸井を見つけるとワンタッチで縦パスを通します。そして、背後へと走り出した中村へスルーパス。しかしこのパスを惜しくも相手にカットされてしまいます。
その数分後。距離感の近いビルドアップで左から右へと展開します。そして中田からパスを受けた木下は一気に逆サイドの牧口まで展開します。その展開でゴールまで迫りたいところでしたが、相手にうまく対応され、慌てずもう一度動かします。丸井・飯田・中田でボールを動かし相手が中央へ集まった時に再び左サイドの牧口へ。パスを受けた牧口はワンタッチでアーリークロスをあげるとそこへ飛び込んできたのは古田。相手CBの背中からクロスが来るタイミングで抜け出します。触れば1点という場面でしたが、ここもGKの勇気ある飛び出しで防がれます。
そこから疲れが出だしたのか、守備する位置が少しずつ下がり、攻撃でもミスが増えてしまいます。
後半24分。決定的なシーンを作られます。
右から相手のコーナーキック。右足で蹴られたボールはゴール方向に曲がりながら中央へ。そのボールを後ろから走り込んだ来た選手にニアで後方へ逸らされます。そして、ボールは相手の元へ。相手がシュートを打とうとした瞬間、楠がブロック。しかし、再び相手の足元にボールがこぼれ、シュートをされますが、ここも楠が再びブロック。こぼれたボールはまたもや相手の所へと行きます。PKマーク付近で豪快に放たれたシュート。しかし、そのシュートは名和がなんとかセーブをし、相手に得点を与えません。
名和はキャッチ後、時間を作りながら中央の中田へとパスを入れます。相手のプレスが甘くなったところを見逃さず中田が前へと運びます。そして、一度は相手に触られますが、サイドでフリーになった牧口へとパスを送ります。牧口はパスを受けると2トップの古田・丸井が相手の背後へとスプリント。すかさず牧口がロングフィードを送ります。そのパスは丸井へと繋がり、そのスピードのまま前へと持ち出し左足でシュート。ニアに決まったかと思われたシュートでしたが、ここもGKが左手一本で防ぎます。
そして、試合終了が近づくにつれて焦りが出始めたのかボールを簡単に失ってしまいます。

後半30分。この日、最大のピンチが訪れます。左サイドを突破され、楠がサイドに引き出されます。その瞬間、空いた中央へとクロスを送られます。しかし、ここはもう1人のCB吉田が対応。こぼれたボールを拾われ再びクロスを蹴られます。そして、そのクロスはフォアで待つ相手選手へ。竹田がなんとか対応に行きますが、ヘディングシュートを打たれてしまいます。入ったかと思われたシュートでしたが、名和が右手1本で反応してシュートをセーブ。なんとかこのピンチを防ぎます。

終盤。体力的にも苦しい時間帯ではありましたが、最後の力を振り絞り相手のバックパスに合わせて中村・古田・中田が前へと奪いに出ます。そして、ボールを奪った中田は横の中村へ。中村は奪いにきた相手を突破すると途中交代で出場した池田へスルーパス。パスを受け取った池田はゴールへと仕掛けようとしますが、ここは惜しくもオフサイド。しかし、この苦しい時間帯で奪いに出た3人の守備がチーム全体に活力を与えます。
そして、それと同時にスタンドから『カップをピンクに染めよう』の大合唱。その声援が選手により一層の力を与えてくれます。
誰かが抜かれてもそのカバーへと懸命に走る選手。歩きたくなる時間帯でも手を抜かずアプローチに出る選手。体力がきつい中、歯を食いしばって中田が前線までポジションを上げてボールを奪った瞬間。歓喜の時が訪れます。
試合終了のホイッスルが主審によって吹かれ、苦しい試合展開でしたが1-0で日テレ・東京ヴェルディメニーナを倒し、全国大会優勝することが出来ました。

夏のクラブユースで敗北し、皇后杯でも関西大会1回戦敗退と困難な時間を過ごして来ました。
それでも自分たちのやって来たことを見失わず、プレーで観ている人たちに夢・希望・感動を与えられるようにチーム練習の後、体力向上のための走り込みやシュート練習、ヘディング練習を選手自身が自ら進んで取り組んできました。その努力が今大会で実を結び、最高の形で最後の大会を終えれました。

今大会中対戦して頂いた、日テレ東京ヴェルディメニーナ・ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ・愛媛FCレディースMIKAN・アルビレックス新潟レディースU-18、全ての対戦相手チームの皆様。
皆様との対戦で選手たちは強く・成長出来ました。
そして、スタンドから応援をして頂きましたサポーターの皆様。
セレッソの一員として、セレッソファミリーの心強さ・温かさをとても感じました。皆様の声援がなければこの結果は本当になかったと思います。
最後に今大会、今までで一番素晴らしい姿を後輩に見せてくれた高校3年生の選手たち。
その高校3年生を支え、自分の持てる力を全て出し切った後輩たち。
試合に出られず悔しい時間を過ごしたが、一切表情に出すことなくチームのために頑張ってくれた選手たち。
クラブの活動にご理解・ご協力頂き、最後の最後まで応援に駆けつけて頂きました保護者の皆様。
今大会の開催にあたり、ご尽力頂きました関係者の皆様。

心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。





セレッソ大阪ヤンマーガールズU-18監督 日高欣弘