セレッソ大阪スポーツクラブ

桜なでしこ物語【第2章】| 第28回 2018年、なでしこリーグ1部に初挑戦

2020.05.12
【はじめに】
2019年12月まで「まいど! セレッソ~マイセレ~」で連載したセレッソ大阪堺レディースの歩みを綴った桜なでしこ物語の続編です。2018年、なでしこリーグ1部に昇格・参戦したチームの戦いがいよいよ始まったところからのリスタート。
2020シーズンの開幕が待たれる中ですが(5月11日現在)、桜なでしこたちの活躍に思いをはせつつお読みください。(文中の役職、チーム名は当時のもの)

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2018年、なでしこリーグ1部に初挑戦

2018年、目標(2020年にはなでしこリーグ1部でプレーする)を前倒しする形で、セレッソ大阪堺レディースはなでしこ1部に昇格した。初戦はこの連載の初回で紹介した雪中の日テレ・ベレーザ戦。3年連続優勝という絶対女王に力の差を見せつけられての敗戦だった。

 
2018年3月21日の開幕戦。一面真っ白になったピッチ、極寒のなかの1部初陣だった。

筒井梨香選手が果敢にマッチアップ

 続く第2節のホーム開幕戦は、またしても強豪、INAC神戸レオネッサが相手。J-GREEN堺S1メインフィールドのスタンドにはたくさんのファン・サポーターが来場、特にセレッソサポーター席は満席に近い状況で、期待の大きさが感じられた。

2018年ホーム開幕。ピンクのフラッグがスタンドを染めた

 しかし、またしても1部の洗礼を受ける形になった。前半で2失点、体を張って守るものの及ばなかった。「落ち込んでもしょうがないぞ」。ハーフタイム、竹花友也監督はこんな言葉で選手たちを鼓舞した。「自分たちはチャレンジャーで失うものは何もない。いろいろやってみよう」(竹花監督)という言葉を受けて後半に臨んだが、CKから3失点目。終盤に松原志歩が相手バックラインの裏をついて1点を返すが、その後さらに2点を失い、トータル1-5の大敗となった。

厳しいマークを受ける宝田沙織

 竹花監督は試合後、「いろんな意味で差があったかな、と感じました。守備の面でも攻撃の面でも、やろうとしていることは考えられても、実行するスピードとか、判断のスピードの差が今日はキーになった」と語った。一方で、「このリーグを戦っていくうえで、スピード、キックの距離とか、いろんな点で慣れていく必要がある。そういう意味で、1戦目2戦目と強いチームとやれて、1部のレベルをつかめてそこはよかったかなと思います」と前向きにとらえていた。

就任6年目にして初の1部挑戦となった竹花監督

 選手たちもただ落ち込むだけではなかった。試合後、応援席に向かって深々と頭を下げると、「点差も開いてしまい力の差は認めないといけないですが、最初からこういう強いチームと戦うことができて、自分たちが今どのぐらいの立ち位置にいるのか、自分たちの力がどれくらいなのか明確に分かりました。トレーニングの中で少しでも修正してレベルアップしていくしかないなと思いました」(松原志歩)と、冷静だった。松原は、「個人の能力や、周りとの連係、ひとつのパスのスピードやコントロールなど、根本的なところでまだまだ差があるなと感じました。でも、フィジカルのところで、当たり負けとかはチャレンジリーグが始まった時(2013年)に比べたら差は無いなと思いました」とも話していた。

文・横井素子